三十五段 洛西の花に酔う


今年の春も終ろうとしている
4月10日は桜にとってはもう晩旬なのだろう
気が急ぐ 気がさわぐ
洛西は浄土に近い場所 その山際には多数の寺がある。
今回は西京区から 長岡京市近辺の神社と桜を愛でる

国道171号線から長岡天神前を通り丹波街道を北上すると 粟生野 光明寺。
西山浄土宗の総本山光明寺は、長岡京市西山のふもと、粟生広谷にある 宗祖円光大師法然上人が24歳の時 比叡山に登る途中一宿にで立ち寄られたさい宿の主人に是非この地で教えを広めてほしいという懇願に答え 20年後の承安5年(1175年)に立教開祖された地である。


朝早いので人影はない 静寂の中に門前の桜がさわいでいる
この寺は桜よりも紅葉が映える 


紅葉時の門前「光明寺のパンフレットより」

かつての街道は自動車にとっては狭くきつい 大阪の北部 山崎から長岡京 洛西を経て丹波に向かう今は国道9号線となっている この街道沿いにもいくつもの神社がある。
長岡天神・乙訓寺・光明寺・善峰寺・正法寺・大原野神社・願徳寺・勝持寺
途中の長岡天神前の池の堤の桜の下では家族連れの宴で賑わっていた

 長岡天神前の風景

さらに街道を北上する。
道は細くくねる この近辺はいまもいたるところに竹薮があり
いたるところに「朝掘りの竹の子直売所」がある。
街道から善峰道を左に曲がって一直線に山に向かう 更に道が細い
対向車のたびに 退避走行をする 時折観光バスや定期バスがくる
山手に入ると「直売所」の数が増す 10cmほどのおおきさ4〜5コで100〜2000円 立派なものなら
1本2000円ほどする この時期とばかりに高額である。
少し上り坂の途中右手に「十輪寺」(通称「業平寺」)がある。
ここの地名は西京区大原野小塩というが なんでも業平が晩年この寺に住んでいたといわれ ここで塩を焼いたという跡がある。

晩年の業平の居住とされる「十輪寺」



更に坂を上ると寺のすぐ手前の右手に「竹の子・お漬物」などの売店と併設の「竹の子ごはん」が目に付く
店の前に3mほどの大木の仏様がある。
食堂の入り口にも3体のお地蔵様がある。
それもりっぱな出来えある。中途半端ではない
中に入りおじさんに様子を尋ねる
食事はお昼頃に出来ます。
彫刻はこのすぐ下に工房をもつ 松本明慶さんですという
なんとあの明慶さんの工房が近くにあるという
作品も明慶さんのだ そりゃ りっぱなはずだ。
さっそく引き返して工房に行くも日曜日とあって人影はなかった


明慶さんの作品が並ぶみやげ物・食堂


明慶さんの工房

歩けば厳しい坂道のどん突きが西国三十三 の第二十番札所善峰寺(よしみねでら)
平安の中期長元2年(1029年)源算上人の開山。
札所とあって人も多く 寺の施設管理も完璧のようである。
500円の駐車料を払って さらに拝観料500円を払う
ここの天然記念物「「遊龍」の松は必見である。



この松は樹齢600年の五葉松 元は全長54mあったらしいが 平成6年待つ食い虫のため
15mカットされたという しかし写真でも一度には収まらない

われながらなかなか旨く繋げたであろう「遊龍の松」
 
三万坪の敷地はとても周れないので観音堂と枝垂れ桜の経堂 宝物館を拝観

経堂と枝垂れ

宝物館では桂昌院(徳川五代将軍綱吉生母)ゆかりの品 1200点展が開催されていた

善峰寺を出て又丹波街道にもどり さらに北上すると 勝持寺の表示がる。
これが本日の目当ての所である。
勝持寺は別名「花の寺」白鳳8年(680年)天武天皇の勅により創建 西行法師がここで出家したといわれ その西行が一株の桜を植えたので「西行桜」と称した

「花見んとむれつつ人のくるのみぞ
あたらさくらのとがにはありける」 西行法師

「地にとどく西行桜したりけれ」 虚子
 
勝持寺南門



西行桜


境内の枝垂桜


花の美しさにしばし佇んでいた 本当にもう満喫した
平安の時代から多くの時代の人々がこの花を愛でて その美しさとはかなさを
数々の表現で写し取ってきたのだ
あまりの感動に何故か急に空腹感が襲ってきた
何か食べたい
そうだ先ほど立ち寄った善峰の茶屋に戻って竹の子ご飯を食べよう

店について注文しょうとすると 「今日は団体が入って出来ないという
それだったらさっき寄ったときにそういえばいいではないですか
と文句をいったところ おじさんも苦慮して ではなんとかしましょうと 竹の子刺身定食2350円を出してくれた
(団体さんのを少し減らしたのかな)
竹の子の刺身や和え物など竹の子尽くしで美味だった
店内は明慶さんの作品や 食卓が非常に豪華で欅の一枚物にはおどろいた

一枚ものの欅の食卓

食事後は花見客で込んでくる道路をかんがみて早めに帰宅する
途中 八幡の「背割りの桜」を通過した
ここはこの地域では一番の桜の名所
木津川と桂川の合流点で淀川になるが その合流点の堤上約1kmに渡って見事な桜並木がある
普段は開放していなく 通行禁止であるが 映画の撮影(時代劇の馬が走るシーンなどロケ隊がいつもいる)
や桜の時期だけ開放される。
近辺は車と人でごちゃごちゃ
前を通るだけで 車内から写真を撮る

「背割り」の入り口付近

約1kmの「背割り」を横から撮影 後ろの山は天王山

今日は一日中桜尽くしであった これで来年までみれない
もうあと何年こんな光景を目にすることができるのだろう
花の命は短くて 人の命もまた同じ