十八段 秋の見仏記


JR京都駅から近鉄奈良線に乗って一つ目の駅が「東寺」
 駅から西に歩いて10分 教王護国寺(東寺)の門前に立つ。毎月21日は「弘法さん」でこのあたりは20万人の人で埋ると言う。
「秋の特別拝観」と銘打って 金堂・講堂・宝物館・観智院・小子房セットで1500円のチケットが販売されている。




東寺を言えば空海 空海と言えば密教 密教と言えば 大日如来
今 その大日如来の作成にあたっていることからも 是非とも立体曼荼羅を見仏しなくてはと
汗ばむ秋の日和に出かけた。

まず宝物館 に入る 
国宝 金銅密教法具
国宝    毘沙門天
国宝  真言七祖像
   重文 弘法大師請来目録
  重文 弘法大師行状絵 
重文   千手観音
重文 地蔵菩薩像
      重文 後醍醐天皇晋宸筆置文
など 数千点に及ぶ寺宝のごく一部だが その高密度に感心する。

重文 弘法大師行状絵(写真は同館パンフレットより抜粋)

宝物館のすぐ後ろに普段は非公開の観智院(かんちいん)がある。
所蔵する密教聖教の量と質では最高と言われる。
重文 五大虚空菩薩像
愛染明王像
五大の庭
国宝    客殿
を観る
特に客殿は1605年 北の政所(ねね)の寄進により再建され 
床の間には宮本武蔵筆の「鷲の図」「竹林の図」が掲げられている。




「国宝 客殿」 写真正面が武蔵筆「鷹の図」左脇「竹林の図」
(客殿の写真は同寺パンフレットより)
なんでこんな所に武蔵がと思い聞いてみる。
なんでも 一条七本松に於ける 吉岡一門との決闘後 追っ手からから逃げ延びて
ここの住職にかくまわれ ここに2年半ほど ほとぼりが覚めるまで隠れ住んでいたという。
その間に描かれたものだという。

さていよいよ講堂・金堂である
講堂(重文)は寺の説明によると 承和二年(835年)に完成 その後幾多びかの消失の後現存は1491年の再建のもの。
内部はなんといっても立体曼荼羅
大日如来を中心とした五智如来をはじめ 五菩薩 五大明王 四天王 梵天 帝釈天 と合計21体の像が曼荼羅図のように配置されている。
国宝 5体
重文 15体
と密教ならぬ密度の濃い陣容である。


(写真は同寺パンフレットより抜粋)

講堂を出るとその南隣が金堂である。


右が講堂 左が金堂

金堂は延暦十五年(796年)創建で 現物は1603年豊臣秀頼の発願で竣工。
本尊は薬師三尊(薬師如来・日光・月光菩薩)
 と極めてシンプルだが 全て国宝。
作者は桃山時代の大仏師康正。
その尊大さと にぶく光る金体はまさに教王護国を顕す。
立ち去り難く その前で何時間でも その一体化を希う思いであった。


(写真は同寺絵葉書より抜粋)
非常に興味があったのは 如来の台座に彫られている十二神将(国宝)。


金堂を出ると五重塔が観える。


京都のシンボルとして親しまれているが 予約以外は内部非公開
創建は826年 現物は1644年の徳川家光の寄進によるもの。
高さは57m で日本最高のもの。
 
最後に訪れたのは 東寺の房の一つ「小子房」
菊の紋があったので 多分皇室関係の宿泊所であったのか。
勅使門をくぐると どの部屋も「堂本印象」の襖絵で飾られた簡素な建物。

「枇杷の間」「雛鳥の間」「牡丹の間」「鷹の間」「瓜の間」と印象の水墨画
が続き 最後の「勅使の間」は鮮やかな極彩色の「鶴」になる。


(写真は同寺パンフレットより抜粋)
寺社を出て 駅近くの食堂で食べるも 相変わらず 京都での外食はいただけない。
今から行く奈良も まったく「食の文化」は後進地域。
観光客用や高級料理は発達するも 庶民用はいまもって 進歩がない。
いつもお腹を空かしてでも 自宅に帰るが今日はいまからもっとひどい奈良。
とにかくお腹を膨らまして 東寺」から近鉄奈良線で 奈良に向かう。
約40分 610円の運賃。

うたたねで 目が覚めれば 近鉄奈良駅
地上に上がると 古都の臭いがただよう。
駅から徒歩 10分 で興福寺。
相変わらず観光客でいっぱい でも季節の休日のわりには少ないのかな。







興福寺五重塔前でチケットを買う。
1200円 えらい高いなと思っていたら 国宝館と普段は非公開の菩提院大御堂と五重塔
の三点セットになっている。
興福寺は藤原氏の本願寺で当初は飛鳥の地で厩坂寺(うまやさかでら)といわれたが 710年平城遷都の合わせて移転し 不比等により興福寺と改名してこの地に造営された。

今回公開の国宝 五重塔は730年光明皇后により建立されるが 過去5回にわたり焼失 現物は1426年 室町時代の再建物。高さは50.1mで東寺に次いで2番目の高さ。
初層内陣には四方に四天王 東に薬師三尊 南に釈迦三尊 西に阿弥陀如来 北に弥勒三尊
(写真は同寺パンフレットより抜粋)


中央の柱は直径85cmのケヤキ
今回は心礎部分が観れるように床を開いていた。
 


東金堂の北隣に宝物館がある。
何度か来ているが
ここはまさしく日本の仏教芸術の最高峰であろう。
展示物の豊富さと 内容の質の高さでは東大寺三月堂 や興福寺・北円堂
東寺の講堂などと共に 一二を競う。
         国宝  乾漆八部衆立像(阿修羅像はその一つ)
国宝     乾漆十大弟子立像
国宝         金剛力士像
国宝 天灯鬼立像・竜灯立像(鎌倉期運慶の三男康弁作)
国宝 梵天立像
などなど 
ほとんどが国宝 重文である。

(写真は同宝物館パンフレットより抜粋)
本来 これらの仏像は2010年に再建されるという 塔前の広場にあった金堂に安置されていたものであろう。
金堂再建には60億円かかるという。
先の1200円もその一部に使われるなら安いものである。

さすがにここまでくると 仏像にも堪能してきた
チケットセット最後の菩提院大御堂である
奈良時代の高僧玄房肪僧正の菩提を弔う一院として造営されたもので
遠くの丘に「奈良ホテル」を臨む 北斜面にひっそりとたたずむ



内陣には重文の阿弥陀如来坐像 十一面観音 薬師如来等が安置されていた。

今日の見仏はこれで終了だが この境内には北円堂があるのでこれもと思って行ったが
公開は昨日まで 残念。
興福寺のさらに東側で今 正倉院展が開催されているのだが 秋ともおもえない暑さでもうくたくた ここで帰宅の途に就く
普段みれない文化物がこの時期 いろいろなイベントとして拝見できるのは非常に嬉しいことである。
京都・奈良の仏教芸術の最高峰をはしご出来たことは至福の限りであるが
それにしても 結構お金がかかりますな~
そうそう出費ついでに 「柿の葉すし」と「千寿庵のわらびもち」と「吉野葛饅頭」でも買って帰りますか。