その37 (酸ヶ湯温泉)・大鰐温泉・日景温泉・ほっとゆだ温泉・泥湯温泉・子安峡温泉・天童温泉・(蔵王温泉)
                     (  )は再訪温泉

その1

構想から4年目にして実現した
この「東北温泉巡り」は最も難渋したコースである
コロナや水害や己の体調などでキャンセルや変更を経てこぎつけた
天候の影響で予定通りにはいかなかったが それはそれで又楽しい出会いも有り
旅のダイナミックさを味わった
コースや内容はほぼ「温泉紀行・仮想温泉記」に沿っている
が「泥湯」から先は「その33」で既行したので体力的にも楽であった


1日目

出発の1週間ほど前にJALからメールで予約の伊丹空港12:30分発が13時55分に変更になりました
とあった
困った 青森空港から青森市内までバスで40分 そこから徒歩20分で「棟方志功記念館」に行く予定
なのに閉館迄余り時間が無い
JALに電話を入れて「困るんです」と言う
「では詳しいスケジュールを教えてください」
という
この予約はスペシャルセイバー(出発28日前迄の予約)で価格は半額以下になる
ただし変更・キャンセルは出来ない(すれば返金は5~50%引かれる いままで何度かキャンセル料を支払っている)
「青森市の柳町通で下車して徒歩20分の記念館に・・・」と説明をする
「では調べてみます」 と相手先のお嬢さん
しばらくして「今回は特別で11時15分の便に変更させていただきます」とのお言葉 ほっともっと
でも時間の変更はJALのほうからしたんだから 当然と言えば当然かな

明日から3連休とあって飛行機も満席

空港から青森駅行のバスに乗り ホテルに近い柳町通りで降りる

柳町通りは青森駅の近くの大きな通りで新青森市役所庁舎やNTTのビルなどメインストリートでもある
記念館の途中に今日の宿「スーパーホテル」に寄って荷物を預け そこから15分ほど歩く
「平和公園」という長い公園の向こう側にある



館内は撮影禁止
入り口から代表作「二菩薩釈迦十大弟子」屏風六曲一双である (ちょっと失礼して外からパチリ)
本当に圧倒させられる作風である

ビデオで彼の生涯を30分ほど見る
板に顔を付けるように彫るのは左目は全く見えず右目も弱くなってきている
彼はゴッホを愛し「日本のゴッホになる」と言っていたという
確かに作品にも通じるような感じがする

版画ではなく板画という
将に板と刀と彼の心身が一体となった作業であり作品なんだ
当初日本よりも海外で評価され多くの賞をもらい日本でも注目された
よくあるパターン やはり日本人は人と違う才能や感性は異端とする島国根性が強いからだろうか
彫刻や絵をする人なら判ると思うが作業で一番難しいのは「線」である
「線」をどこで決めるかが最大のポイントだと思うが
彼には迷いはない これは天性の物だろうか
写生の早さにも驚く この速さには驚嘆する
良い物を見せて頂いた

館を後にホテルに向かう 途中 コンビニで「のり弁」を買ってホテルに入る
明日はホテル前のバス停から青森駅に行く

2日目

朝食はホテルのバイキング 朝からカレースープととろろ汁 美味いね


青森駅前バスセンターに切符を買いに行くと
今日は八甲田山ロープウエーは強風で運航中止ですがと言う
うそ~ こんなに晴れているのに これこそ晴天の霹靂
でも今日の宿は八甲田山の酸ヶ湯なんでと言って切符を買う
そして今日は連休で人も多く8時10分のバスが2台共 既に客が満席状態で待機している
係の人が乗りますかと言ったが臨時の9時の便があるのでロープウエーが乗れないなら早く行ってもと思い
9時の便を待った
臨時も増便で2台のバスが出たこの路線は普段は青森発十和田湖行は
8時10分と11時の2本しかない
従って8時10分に乗り八甲田山に登り11時のバスで酸ヶ湯温泉にいくしかない
ロープウエーから酸ヶ湯までタクシーはいくらかかるか タクシー会社にメールすると5000円位という
何でも青森駅からの迎車になるので高くなりますだって
(この時期はロープウエーの山麓に待機しているからもう少し安いかも)
まあこんな状態だからなかなか八甲田山には脚が伸ばせない
帰りもJRバスなら午前は青森駅11時59分着しかない
従って八甲田山周辺の宿は殆ど送迎をしている
酸ヶ湯温泉も予約すれば8時50分発の大型バスで青森駅まで送ってくれる

ほんまや! 運休中や

すかたなかんべ
又 「たら」の話で 登れてたら こんな景色も


周りをうろつく

確かに風は強い 山頂はもっときついだろう
寒いし山麓駅のベンチに座っていると 隣に後期高齢者風ご婦人が2人座る
楽しそうに話している
1人が持参の保温ポットからコーヒーを注いで突然じじいに「ほれ温まるよ ほれ 飲め」と差し出す
動転気味に「いいです いいです」と断る 「温まるんのに」ともう一人のご婦人
暫くすると又ごそごそして 今度はリンゴを取り出して皮を剥き始める
「これなら喰ってくれそうだ」と小声で話している

「これは近所で一番美味い所の林檎だ」と言う
今度は断れないし 本当に食べてみたかった
蜜の入った本当に美味いやつ 先日信州で買った「袋詰め放題」とは全く似て非なるもの
美味い美味いと食べるともう一つ取り出して剥く
結局 3切れも食べてみんな大満足
腹が膨れると陽気になる
「大阪から来ました」「東京に住んでいたが青森に嫁いできた」「恐山や仏ヶ浦て 知ってっか 
そこの役所で働いてたんだ」など話を持ち寄る
「いつも一人旅かい あたしゃ人恋しいから1人は絶対だめだ」
「大阪から来てロープウエー乗れないのはショックだよね でも安全第一だからね」
青森発11時のバスのロープウエー駅到着は12時17分である
まだ1時間30分もある

「酸ヶ湯の上の方にレストランがあるので そこで食事でもして帰るか」
「そうしょう そうしょう そうだ 酸ヶ湯の前を通るなら乗せてあげれば」と言う
「いえいえ それは申し訳ない」と言いつつも 酸ヶ湯迄の切符を買っていますので と言いかけたが
あと1時間30分も ここにいることを考えたら黙って 甘受した
いい車じゃん
「後期高齢者になったので運転免許証は自主返納しました」と言うと
2人が同時に声を合わせて「まだまだ若いわよ」と怒号に近い反応
一体貴方たちは何歳と聞きたくなる 女性後期高齢者風は強いね
酸ヶ湯温泉に着く 「一期一会だね」とドア越しに笑う  じじいは頓首

宿のフロントに荷物を預け 周辺の散策に出る



地獄池は強酸性水の為 魚は一匹もいない 怪しい色の池 因みに指をそっと入れたが冷たいだけだった

どれも今一迫力が無い
ここも出ている蒸気もわずか
しかし周辺の硫黄臭は強い

ベンチの下に蒸気がきているらしい
誰が言ったか知らないが「まんじゅうふかし」て上手いこと言ったもんだ

鈴を持って奥に行きかけたが 最近の熊は鈴でも逃げない奴がいるらしいので早々に止めた
宿に帰るとそれでも13時半だった


「酸ヶ湯(すかゆ)」は元は「鹿湯」だった すかゆは「しかゆ」の読みが変化したものと言われる
 


フロントで受付を済ますも入室は14時半ですと言う
汗をかいて少し寒いので早く着かえて温泉に浸かりたい
玄関の椅子に座って時間を待っていると観光バス客やマイカー客など続々入ってくる
1人1000円の入浴料 少し待っているだけで うん万円・・・

人の懐の勘定はどうでもいいが 2時半よ早く来い
土産物売り場にも行った


「こんなトレーナ着てたら 総酸ヶ湯」じじい
 
やっとお許しが出て部屋の鍵を貰い全部脱いで新しい下着にして浴衣をはおる

うんにゃ やけに部屋が質素
そうかこの棟は湯治客用だ
そう言えば宿賃が高いのと安いのと結構差が有ったので 有無も無く安い方を選んだが
内容までチャンと確認していなかった
まあ風呂が目的じゃけん
とりあえず風呂で体を温める
風呂は浸かるだけの「千人風呂」と洗剤が使える内湯「玉の湯」がある
ひと先ず体を洗おうと「玉の湯」に行く
戸を開けると脱衣室は裸のおっさんで充満 脱いだものを置く場所も無い状態
これはこれはと思い「千人風呂」に行く ここも先と同じ
風呂の割に脱衣室が小さすぎる

諦めて部屋に戻り やかんを持って炊事場に行き湯を沸かす
炊事場の掃除をしていた叔母さんに 部屋の窓を開けたらすぐ下が幅3m程のプールの様な
川の様なものは何ですかと尋ねた「あれは雪を溶かすために水を貼っているんです」
そうかここは日本でも有数の積雪量 雪かき何ぞしてられない 水や湯が豊富に周りにあるので
建物の周りを浅いプール状にして雪を溶かすんだそうだ

宿の横の温泉川を貯めてあちこちに周るようにしてある
今度TVのニュースなどで雪の時の温泉宿の状態を見てみよう どれほど効果があるのか
温かいお茶をのんで布団を敷いて夕食の6時まで寝よう

食事前に一度「玉の湯」で体を洗い 「千人風呂」にも行ってみた
流石に5時頃には大夫空いていた
「千人風呂」は基本的に混浴である 湯が濁っているので立ち上がらなければ男女の区別はつかない
入り口は別だが女性の方は低い壁があってそこから出なければ全く見えない
もし中央に出たければいざって来れば問題が無い
しかし以前来た時よりは壁が高くなっていて「女性側に寄って覗き込まないでください」の注意書き
やはりそんな輩も出たんだろうな 
それよりも気になったのは以前より湯の色が透明ぽくなっているし 臭いもおとなしく感じる 何故だろう

夕食は湯治客は食堂で 上等客は宴会室で

健康的な食事
食堂は中国の団体客や個人客などで満員7~80人はいただろう

こんな素敵な場所もあるんだ じじいの斜め向かいの部屋の若い金髪の白人女性が本を読んでいた
外人の女性からみてこんな宿をどう思うのか興味があったが 喋れないのが 残念

棟方志功が愛した酸ヶ湯にも作品が これはレプリカで本物はどこかの展示会に貸し出し中とか

さあ寝よう 木の廊下を歩く音が頭を軋ませる


3日目

夜中の3時に目が覚めた
どうも覚醒してしまって寝られない
よし!風呂に行こう
まず「玉の湯」


次に「千人湯」

どうじゃ 流石に誰もいない 「千人風呂」を独り占めできるのは滅多なことではないぞ~


以前は板壁もこんなに高く長くなかった

最高の1枚



元気溌剌 朝はバイキング ホタテもOK

8時50分に館前に集合 なんと送迎は大型バスだ
25~6名はいただろうか やはり多いんだ

駅から300m離れたコンビニが終点

青森特産「にんにく」

リンゴ 欲しかったが荷物になる

青森駅

奥羽本線で秋田行普通列車で弘前から2つ目の「大鰐温泉駅」まで行く 約1時間

この先は一昨年の大雨で線路がずたずた
長い間 バスによる代替え運行だった
弘前で殆どの客が降りた

大鰐駅に着いた
駅の雰囲気でこの温泉町の経済活動の程度が推測された

ここでは➀不二やホテル②大鰐温泉共同浴場「大湯会館」の立ち寄り湯が目的である


5~6人の地元じじいが先客だった
思ったより奇麗な設備と風呂  透明ないい湯だった

そこから5~60m程に「不二やホテル」がある

思っていたより大きい
これはひょっとして悪い予感  駄目元か

玄関はし~んとしている
「すみません」と3度呼ぶ 若い女性が出てくる「立ち寄り湯お願いできますか」
「いえ この時期 もう致しておりません」と予想通り
「ありがとうございました」と丁重に礼をして玄関に向かう
後ろから「この近くに大湯会館がありますが」と声がかかる
振り返って再び礼をして出る

駅前の案内看板に 駅を超えた所に道の駅があり そこにも立ち寄り湯があると書いてあったので向かう

途中 紅葉盛りの寺に出会う




古びた静かな県境の温泉町

大鰐町地域交流センター鰐
「鰐の湯」や食堂・物産店・会議室など完備
広くて奇麗


早速ソフトを食べて風呂に入る


上は「鰐の湯」のHP掲載のものより

孫と一緒のじじいやばばあが沢山寄っていた
食堂も安くて美味そう
お風呂は奇麗で広い 露天は又最高に良い
こんなところに家があったら毎日来るだろうな
500円で思わぬ拾い物をした気分だった
あっという間の3時間だった
つぎは今夜の宿のある陣場に向かう
大鰐温泉から奥羽本線で4つ目

陣場駅 なんでこんな所に駅が有るんだろうの感
事前予約で宿の迎えがある
30歳代の女性とじじいの2人が列車を降り 2人が迎車に乗った
車で10分足らずだが森深い場所にある 北秋田の熊の出没からして
今や迎車はサファリの中を走る様
運転手に聞くと駅の反対側の山に多いらしい
そういえば ここはもう秋田県大館市なんだ
さっきの山とトンネルが青森との県境だったんだ

松田忠徳先生の「新・日本百名湯」には『下内川に沿うて国道を青森方面へ約半Km入ると
森林の中に温泉がある。海抜210m、背後は矢立峠。付近一帯は日本三大美林の一つ下内沢の国有林で
温泉前は農林省の指定保養林になっている」(「温泉案内」昭和25年)秋田と青森の県境には、極上の源泉
をもつ小さな温泉が点在する。古遠部、湯ノ沢、矢立、それにここ日景。』とある






ロケーションはパーフェクト
あとで感じたことだがここは若い女性に人気の宿なんだ
食堂は個室なので人に出会うことはほとんど無かったが
部屋にはテレビが無く 代わりに読書室や談話室などがある
フロントロビーではコーヒーが自由に飲めるのでが喫茶店の様に若い女性達若いカップルが
1人や2~3人で来ているのが判る じじいはほとんど見かけなかった

この温泉宿は5ヵ所の自家源泉があり 内湯とそれ以外に4か所の貸し切り湯がある
チェツクイン時に夜1ヵ所と朝一ヶ所の貸し切り湯を1時間予約出来る
ボードに自分の部屋番を貼っていく
夜は20時から「滝見の湯」 朝は5時からの「あんぺい湯」を予約した
朝5時は天気とお月さん次第では星が見えるのではの目論みである

布団と枕がふわふわ 家のベッドが哀れに見える

冷蔵庫を開けるとビールと冷えたコップと500mlのお茶が入っている
説明に因ると「ご自由にお飲みください」だって
アサヒではないが これを飲むためにも取り敢えず風呂に行こう!
「ゆぐだまるゆっこ」

素晴らしい湯 硫黄臭ではなくなんか香料の香
館内散策




部屋に帰りアサヒでないビールを飲んで夕食まであのふわふわのベッドに横渡る
なんと贅沢なことか TVがあれば又戦争のニュースが流れるがここにはそれが無い
そんな時間が有ってもいいのではないか

夕食は個室になる



どれも美味い
正直秋田の田舎温泉でこれほどのレベルとは恐れ入りやの鬼子母神
もうお腹いっぱい 係の人に「申し訳ないお腹が一杯できりたんぽは1本しか食べれないです」
という「嗚呼 良いですよ 食べれるだけ食べてください」

朝食は「比内地鶏のお粥」にしょう

調理室に「大館老舗料亭 割烹きらく」の暖簾
この宿も何年か前に停止してその後どこかの料亭が引き受けたと聞いていたが
それが「割烹きらく」なんだ  道理で美味いはずだ
朝食が楽しみ

少し横になっていると貸し切り湯の予約の20時が来た
「滝見の湯」である

感動
そんなに大きい滝ではないが滝のザアザアという音と地から湧き出るボコボコという湯の音が相まって
自然の真っただ中にいると感じる

明日は5時起きで貸し切り一番風呂だ

4日目



天気は良さそうだ 月は半月だが大きい星は良く見える
「滝見」「星見」の貸し切り湯 これほど贅沢は無いだろう 参ったか


お粥には「柚子醤油」で味変
おいしゅうございました
お会計の時 思わず「これでいいのですか」と言ってしまった
ぶっちゃけ入湯税も入れて「21600円」である
宿の品格・ぼこぼことなる源泉の湯・従業員の接客・そして美味い食事 どれをとっても満天の星だ
倍出しても惜しくないと思った ここは秘密の宿にしたいくらい




 





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