六十段 堺屋太一「活断層」
AMEBA BOOK
(2006年12月発刊) を読んで


いまはときめく「大阪維新の会」の理論的バックボーンである
あの堺屋太一が25年の歳月の後に出版したという
というのは 話は事実に則したもので あまりにもなまなましいので
出せなかったという
物語は 日本でも有数のある商社の開発部に鹿児島県の沖の とある小さな島
の とある村長と村会議員が訪れるところから始まる
島には漁業とさとうきび畑の他にこれといった産業も無く
時代は高度成長期の真っ只中 日本中が開発で沸き立っているときに
この村は過疎化がすすむ
なんとか開発をという要望で訪れた
おりしも この商社の系列の石油会社が 大規模石油基地を模索しており
話はとんとん拍子にすすむのだが・・・
主人公である開発部の社員が新会社の代表者になって単身島に乗り込む
なんせ総額600億円 一部海岸を埋め立て 石油タンクを49基建設するのである
埋め立ては順調よく進む中 村長以下今まで協力的であった島民の態度がだんだん険しくなる
ついには 周りに基地反対のビラが飛び交う
最初は会社の周辺の反対運動が どんどん膨らみ 東京や大阪の著名な科学者や評論家までも
反対の声や連帯を表明 集会も島だけではなく鹿児島県庁前でも大々的に行われる
ローカルのマスコミから全国紙が取り上げるとエスカレートしていく
それと対峙する主人公の葛藤と苦悩
その間の村の有力者 県の行政 大手商社 反対者 いろんな立場の人間模様
これは今までよくマスコミでは反対側の行動や理屈を聞かされるが 反対される側の
行動や論理 心情はなかなか伝わらないし 興味がなかったが この視点からも
おもしろい展開である

懊悩する主人公はこの見事な反対運動の展開即ち
 
①確率論を無視した危険性の強調
②因果関係の無い事例による可能性の印象付け
③あり得ない想定による恐怖感の創造

などからこの運動には隠れた指導者がいると疑う
この犯人推理がおもわぬ展開になる
犯人はなんと「反対運動のマニュアル」をもった「反対運動のプロ」
このプロにかかれば素人の住民 行政 企業 学者 マスコミ など思うように動かせるのである
この著作では プロの目的や所在は明白には書かれていないが
実際に存在し 世にある反対運動の多くにかかわっているというのは事実である
としている

現実の「原発」「オスプレイ」「基地」「道路」「廃棄物処理」など多くの反対運動の実態は
さてどんなもんだろうか