その27 三瓶温泉・小屋原温泉・湯の川温泉
太平洋側は不安な天候が続いていたが日本海側は連日良好である
温泉巡りに合わせ 気になっていた所も訪ずれた
1日目
帝釈峡でハイキングコースを歩こうと思うが早朝の便に間に合わないので姫路まで新幹線に乗る
久しぶりの新幹線だが結構混んでいる
姫路で乗り換え岡山・倉敷・総社を経由する伯備線の各停で新見の2つ手前の井倉まで行く
総社からは高梁川に沿って走る 総社は2004年に自転車で遺跡巡りをしたことがある
(つれづれ28段 吉備路を漕ぐ参照)
通勤・通学の時間帯でもあるので多くの人の乗り降りが絶え間ない
大阪から新見迄沿線の工場や家の切れ目がない
前回の山陰線とは明かに様子が違う
こうして多くの山や畑や工場や住居を見ているとみんな所有者があって
みんな不動産税を納税しているんだ
べたの土地利用よりもマンションやビルの様な空間にでも不動産税がかかるので
都会の方が率が良いだろうな などとこの納税の時期に思った

県指定天然記念物井倉洞は駅から徒歩15分にある

井倉は岡山(備後)と広島(安芸)の県境付近である
山を越せば鳥取(伯耆)・島根(出雲)に至る







想像以上に迫力がある
しかし後にも先にも誰もいない 一人きりでじめじめと冷ややかなところで不気味だ

滝が「裏見の滝」状態
洞内900mの殆どが背をかがめての登り 腰が痛い
帰える頃ぼちぼちと客の姿も見え始めた
杖をついたおじいさんが「どんなんじゃ 行けるかな」と不安そう
「途中300mの所で自信の無い人はここで出て下さいという看板がありますよ」
と案内したがあの足つきでは・・・・
濃密満杯の洞窟巡り おそらくこの期間中相当落ち込んだことだろう
食堂も土産店も全て閉鎖されていた
もっと問題なのは
この洞窟は県で守られるのだろうが
この隣の山の中腹に大きな穴を掘ってそこからベルトコンベアーで大量の石灰石を運び出している
大手のセメント会社が並んでいる

その石灰石を工場で石灰灰にして大きなトラックでひっきりなしに運び出す
駅に向かう狭い道を埃と音を立てて遠慮そうに通り抜ける
観光が先か産業が先か それとも共存か
この小さな町で大きな問題を視てしまった
しかし資源が枯渇すると見捨てられた産業跡が観光地として蘇ることもあるんだ
ここでは何年先になるかは不明
2駅乗ると新見 新見から芸備線備後落合行きで東城まで行く
この芸備線は7月に廃線の協議会が始まるとか
既にその先の三江線は2019年に全線廃止となっている

確かに何でこんなところに鉄道が敷かれているんだろうと感動と同時に諦めの感もある
嘗ては煙を吐いて山と山の谷合を縫う様にして勇士を魅せていたんだろう
人の生き様を看ているようだ
東城駅には今日の宿「帝釈峡国民休暇村」の迎えの車が待ってくれていた
列車からは10名程のハイカー客様が降りたが休暇村の客は1人だった
「すみませんね こんな時間に来ていただいて」と礼を言う
とっても気さくな運転手で気が安らぐ
15分ほどで宿に着くがチェックインには1時間早い
お部屋は用意しておりますと言われたがそのまま部屋にも入らず
2~3時間周辺を歩いてきますとハイキングに向かう
さてどこをどう歩くか全く判らないので取り敢えず宿のHPにある地図を参考に歩く


上右の地図で紫の〇の中にダム湖の神龍湖がある出来ればその湖の北側の遊歩道
にいきたいと思った 神龍湖までわずか1.3kmである
ところがそれが大きな誤りだと後に気づいた
確かに実際の距離はそうだろうがこの地図には高低差は見えない
湖に向かう道がどうしても見つからない1kmほど歩いて反対方向だと気づき引き返したり
湖の途中の道が崖崩れ危険の為通行止めや 果ては道を塞ぐように蛇が横たわっている
足をどんどんと地団太しても全く動じない
しっぽの背後をそお~と通り抜けた


地図を片手にあっちでも無いこっちでも無いと歩き回りもう汗だく
1時間ほどしてやっと湖ヘの道が見つかり行きかけたら何とそれは急な崖斜面の1.3kmだった

湖はすり鉢の底にある 遊覧船が動いている
休暇村は山の頂きにある

急な坂を降りてもこれを登ることを考えると足が止まる しかし足元で遊覧船の音や人の声が聞こえる
止めるか行くか
やめた!
帰りは登れないと判断した

なんとか元の場所まで登って休暇村周辺を歩いて宿に帰った


この周りは石灰石の山 水はミネラル豊富の温泉らしい 汗と疲れは充分取れた
井倉洞からこの地域は嘗ては海の底だったんだ
食事はビュッフェ この時期夫婦・グループ・一人客など2~30名 結構多いと思えた

久しぶりに生ビール小を飲んだ お盆もお変わりした カキフライを6個も食べた アイスも美味かった
8時にロビー集合で「星空観賞会」がある
会場はホテルの前の芝生の小山
5~6人が参加したが 残念ながら雲が多くて駄目だった
さあ早く寝よう 明日も早い
2日目

朝風呂に入り爽やかに朝食をしっかり摂る
東城8時54分の列車に乗る
8時20分にロビーで送迎車を待つ

昨日と違う運転手さんだったがこの人も気さくな人だった
時間があるので遠回りして湖まで降ります といって瞬く間に降りた
車道はトンネルが有ったり歩道よりだいぶん遠まわりだが車なら5分だった
遊覧船の所でビューポイント 下ろしてくれた


紅葉橋からみた神龍湖と神龍橋
神龍橋の上流が中国自然歩道になっている
紅葉の時期はこちらがメインになる
「昨日ここまで来たかったんですが帰りの登りを考えると諦めていました」と感謝
紅葉の時期は休暇村からここまでシャトルバスが出るそうだ
彼は東城の町中も案内してくれた
「東城は出城ですが城下町なんです 以前は人口3万人だったのに今は6千人に減りました 列車もその数がどんどん減りました
この商店街見て下さい どこもカーテンが閉じられているでしょう ここが谷繁(元中日選手・監督)の実家です ここは銘菓の〇〇です」
など細かく説明してくれた
本当に思いがけずのサービスに深く感謝した
新見駅で列車待ちが40分ほどあるので駅近を散策

伯備線と添う高梁川 川には甌穴(おうけつ 水のながれで岩が削られ穴のようになる)


新見から「特急やくも5号」で米子・松江・宍道を経て終点出雲
出雲でローカルに乗り換え大田まで行く

やっぱり特急はええな~

特急にはチャンと接続の列車が待機している

日本海に出ました

世界遺産石見銀山跡の拠点駅
2016年に「温泉紀行その14」で銀山には来ている
今回は銀山の東側の三瓶山麓の温泉巡りである
銀山も当初は賑わいもあったが入山するのに案内人が必要で申請をしないといけないとか
なかなか面倒なこともあってか人気が低下
駅前も閑散としている
三瓶温泉行バスはに山の崖に添ってくねくねと走る

森を抜けると三瓶山が大きな草原を伴って現れる
三瓶山は直径5kmのカルデラでその中に6つの山がある
この草原が火口なんだろうか 放牧も有った
見る角度で1~4つくらいは見えた

この温泉街は山の中腹の斜面に上の湯・中の湯・下の湯
という具合に3つの塊があるようだ
順番としては一番下の下の湯で降りて中の湯まで歩いてそこからバスで帰るつもりだ
「下の湯」バス停の前に共同浴場「亀の湯」がある
三瓶温泉は『源泉36℃の酸化鉄を含む赤い塩化物泉で中国地方では最大の毎分3000Lの湧出量がある。』
この「亀の湯」に湯が入るときはかなり温度が下がるらしい
バスを降りるときに亀の湯の張り紙が読めた
「パイプ掃除の為5月17日・18日は休みます」
え~と言って運転手の顔を見る
運転士はよくあることだというような顔をしている「上の湯はやっているでしょう」
と言って走りだす

(上の写真はNETから)
戸はびくとも動かない
車で来た他の客は同じように何度も戸を明けようとするが
閉まってるはと言って車で走り去る
取り敢えず1km先の中の湯に向かう 炎天下の急斜面 身も心も萎える


嘗て三瓶は四岳と呼ばれていて後に志学に変わったという
志学薬師「鶴の湯」



「鶴の湯」の前には茶色の温泉水が流れている

やはりここも休みだ
もう少し上の「元湯旅館」も休んでいた
万事休す
鶴の湯の前のバス停から引き返す
乗ってきたバスが折り返しなので同じ運転手だった
「ここも休みです 本当に何故同時に休むのですかね」
と関係の無い運転手に憤懣をぶつけた
「連休のあとみんな休んでるんでしょ」と運転手は地元を代表したかに言う

しかし好天と高原の素晴らしい景色に救われた

10分程の「浄善寺大イチョウ前」で降りた

今日の宿は三瓶山の東側の麓「小屋原温泉 熊谷旅館」である
バス停から徒歩30分である

大田市立池田小学校 りっぱな校舎




余りにも奇麗な景色に足も軽い
田んぼから上がって来た同年輩の叔父さんと話す
「いいところですね 今三瓶温泉から来たんですが休みでした」
「そりゃ残念だったね あそこはよく休むんじゃ あの三瓶山は何メートルか知ってるか」
「1120~30mですか」「イイフロじゃ」「1126mですね」

小屋原温泉も横に「多根」と書いてある
以前からこの大田多根の地名に興味がある
記紀によれば神代に国中に疫病が蔓延し困り果てていると天皇の夢に大国主命が現れ
大田田根子をもって我を祀れば疫は収まるとしたそこで茅淳の村にいた大国主命の子孫大田田根子を祭主にしたところ
忽ち疫が収まったという
大国主命はこの出雲の神 なにか関連があると思うが・・・・




やれやれ


宿は滝の音が心地よい川底にあった 宿の横からは源泉が垂れている
宿主は50前後のおかみさんで1人で切り盛りされているようだ
ここは泊り客より立ち寄り湯の客が多いのか
NETの書き込みには泊り客の声は少ない
この日の泊客はじじい一人のようだ


早速風呂に入る

風呂は4つ並んでいて今は3つだけ使われている

湯はどれも同じ源泉からのようだ
浴槽は1人か2人しか入れないので他の客がある時は空いている所に入る
今日は3つとも独占だ 順番に入る(同じ湯だから余り意味は無いが)




三瓶温泉と同じ鉄の匂い タオルも染まる
温度は38℃前後か 何時間でも入ってられる ゆらゆらゆら
三瓶よりも色が透明なのは湯元に近く酸化が進んでいないからだと思う 新鮮なんだ

大分の長湯温泉ほどではないが体中から炭酸の泡が立つ
戸を閉め切っての長湯は危険
湯口の横に熱湯の蛇口があって冬場など温度を上げたいときに熱湯を差す
大分の壁湯温泉や長湯は冬は寒くて入れない(横に沸かし温湯はある)
好天下の歩きと長風呂で食事まで我慢できずビールを頼んで部屋で飲む

旨い!この一杯の為に!

出雲そばが美味かった

酔いが覚めて窓から空を見ると昨夜と違って満天の星だった(写真技術無し)
3日目

朝食前の朝風呂は少し熱湯を足した
大イチョウバス停10時26分のバスに乗るため
宿を9時40分に出た


バス停から少し離れたあれが大イチョウなんだろうか
バスに乗り遅れたら次は2時間半後だ くわばらくわばら
大田駅からスーパー特急おき2号で出雲に戻り出雲でローカルに乗り換え荘原まで行く

バスの到着10分前に2時間に1本の各停が出てしまっている
出雲まで特急で1駅だが次の各停は2時間後である
仕方なく倍の料金で特急に乗る JRもなかなかしっかりしている

荘原駅から宍道湖の反対山手に徒歩20分に「湯の川温泉」がある
日本三大美人の湯「龍神(和歌山)川中(群馬)湯の川(島根)」の内の1つである
龍神温泉は確かに鰻の池に入ったようにぬるぬるになる
さてここはどうじゃろ

湯元湯の川の手前に洒落た門構えの旅館がある「草庵」とある
帰ってNETで見たら一泊5万とあった あなおそろしや


道路傍に「元湯湯の川」がある
泊り客の名前の入った立札には満杯の泊り客
今は到着前なので誰もいない 入浴料700円




入って肌を触った 拍子抜けした
ぬるぬる感になるんだと勝手に思いこんでいた
湯は透明・無臭で少し高温(43℃前後)
誰がなぜ三大美人湯としたかはわからないが でも湯自体は源泉かけ流し 素晴らしい湯だ
立ち寄りでは露天には入れなかったので30分ほどで次の湯屋に行く
200m程先の岡の上に立ち寄り湯「ひかわ美人の湯」がある
昭和の初めに地元の業者が掘りあて付近の温泉宿や家庭に供給していると言う

自販機で600円を投入


(上の写真はNETから)
湯はどぼどぼとかけ流し状態 これぞ美人の湯だ
同年代のじじいが湯池の周りでオランウータンの様に腹を突き出してふらふら歩いている
岩の上に寝そべるのもいとおかし
松江駅から帰りのバスの時間の調整もあって2時間近く寝転んでいた
のぼせてきたら岩にもたれ五月晴の爽やかな風にあたり ここは天国だ

宍道湖の夕日は日本の夕日100選にもある(今は少し早い)

バスの発車迄松江駅の構内で
「宍道湖で獲れたての海鮮盛」と謳っているのを食って
大阪に向かう
入れない温泉もあったがまあ良しとしょう
いい旅でした
了