その17 越後湯沢・松之山・野沢温泉
京都駅22:30分発の夜行バスで新潟県長岡駅に行く6:40分着
1日目
長岡市は新潟市に次いで2番目の街である
早朝ウオーキングの同世代グループに長岡城址はどこですかと聞くと
少し困った顔をして「戊辰戦争の時に焼失しほとんど残ってないんです。本丸は今の長岡駅
あたりなんです」という答へ
何故か「ごくろうさまです」と言われて恐縮次第
駅内の店はまだ開いていない
そう思って京都で買ってきたおにぎりやパンを駅のベンチで食べていると
美味しそうなパンとコーヒーの店が順次開いて行く
長岡駅発7:47分の「上越線」(長岡~群馬高崎市)で越後湯沢に行く
この「上越」というのはどこのことをさすのかと調べてみると
直江津を中心とした上越市地域を言い 京都に近い方から上越・中越・越後となっているらしい
しかし上越線はこの上越地域を走っていない
上越新幹線も直江津には行っていない
2004年 長岡を中心として68名の死者を出した震度7の地震は「中越地震」と呼ばれる
JRの中にどうしても「上越」を入れたい人がいたのかは不明
地元でも相当な軋轢があるのでは
市内を流れる信濃川(長野県内では千曲川 新潟県に入ると信濃川と呼ばれる)
の河原の花火大会は有名である
越後湯沢9:07分着

さすが南魚沼郡湯沢町である
以前この町を訪れた時 信濃川とスキー場に挟まれた狭い町筋に
温泉街が連なりその町を真っ二つに裂く骸骨のようなコンクリートの駅舎と高架
がこの町の印象を悪くしていた
この町の人達は新幹線が通ると喜んだに違いない
しかしそのことがこの町の印象を大きく変えたと思う
温泉は外湯巡りに行く
5~6ヶ所あるが車が無いと回れる距離ではない
駅から歩いて行けるのは2ヶ所の「山の湯」と「駒子の湯」それと「江神共同温泉」
「駒子の湯」は今日は定休日
14:14分発の列車に乗るので結構時間がある
朝から開いているのは「山の湯」だけ 駅から約1km そこをめざす
この正面の山の麓に「山の湯」がる
途中道端に足湯があった

不気味な絵面

こんなものも
そういえばここはあの「雪国」の舞台
この長いトンネルとは上信越線の清水トンネルのことらしい 高崎から来ないと通らない
料金は500円
この旅で初めての温泉である
地元の人らしき叔父さんが3名入っていた
ここの温泉水質は複雑である
以前は38℃前後だったらしいがその後湯量が足らないので新しく掘ると
70℃が出て来た
ただ全体にはJRのトンネル工事の影響で湯量も減って集中管理しているとか
この旅初めての温泉だしまあ良しとしよう
少し体も軽くなって坂道をだらだら下っていると下から2人の高齢者が上がってくる
「すみませんこの近くに「駒子の宿」が有るというのですがご存じないですか」
と訊く
「駒子の湯なら今から私も行きますが今日は休みですよ」と言う
「いやいや駒子の宿の「高半」です」と言う
「川端康成が定宿にしてそこで「雪国」を書いた宿ですよ」と言う
「へえ~そんなの残っているんですか」
と3人でなんじゃかんじゃと話していると 地元の同年輩らしき叔父さんが後ろを通り抜けるところ
問うてみると「それはあそこですよあの白い建物」 と先来た坂の上を指さす」
なんと先の「山の湯」の2~3軒先の建物である
「すみません 私もご一緒させていただいていいですか」と言って3人で旅館に向かう
その時のお2人の写真
どんな関係か知らないが静岡と高知在住とか
「高半旅館」は素晴らしい経歴と館内も豪華な室らいである
3人が「うわ~ うわ~」と子供のように声を上げる
フロントで400円(お一人が割引券を持たれていたので便乗した)
を払うときりりとした男性が2階の展示室まで案内してくれた
昨日のお客を送り出した後なのだろう館内は他にだれも居ない
展示室は嘗ての木造物から現在のものに建て直されその時に
作家の常部屋だけを残して展示室に再現保存されていた
「雪国」関連の本や映画や写真が図書館のようにびっしりと並べられていた


「駒子さん」て将棋の駒からきてるんだ
瓢箪から駒 目から鱗 とはこのこと
お二人に出会わなかったら何も知らないまま終っていた
同じ場所を時には遺跡巡りで時には神社仏閣で時には温泉でと
断片的知識人のつらいところである
お二人は今夜は六日町の貝掛温泉に泊まられ旅館から駅まで迎えがあるという
ので途中で挨拶をして別れた
「駒子の湯」の写真を撮りに行く
やっぱり休み
駅前の共同温泉に向かうが営業は13:00から
道の途中に名物「へぎ蕎麦」(魚沼地域の蕎麦で繋ぎに布海苔を使う)
の有名店があったが残念ながらそこも休み
共同温泉の5~6軒隣に「へぎ蕎麦」と書いた食堂がある


近くの有名店が休みということもあってか混雑している
13:00の風呂まで1時間近くある 急ぎはしない
1番安い「へぎ蕎麦盛」780円を注文
15分ほどで来た
つるっ しこ 蕎麦とうどん両方の食感 これはなかなかのものと1口食べた頃
なんとさっきのお二人が入ってきた
再会である
又席同じゅうしてワイワイガヤガヤ同じ蕎麦盛で大いに盛り上がる
彼らもその有名そば店に行ったが休みなんだよ~と大笑い
店前で今度は本当にお別れですねと駅と風呂屋方面に分かれた
共同温泉は400円 地元のおじさん2人が入っていた
お湯も無色透明で本当に温泉湯からと思うほどきれいな湯
施設全体も清潔感があって時間までゆっくり入った
14:14分の長岡行列車に乗り六日町で降り
14:50分発えちごトキめき鉄道ほくほく線直江津行に乗り換える
このほくほく線には感動した
兎に角スピードが速い 100kmは越えていると思う
(後調べだが普通乗車券で乗れる日本最速の130kmらしい)
それとトンネルが長くて多い
(後調べでは全線の67.8%の40kmがトンネルである)
従って地下鉄を130kmで走ると恐怖感が出る
トンネル内には停車駅もある

(NETより)
この長いトンネルを利用して
トンネルに入ると列車の天井にプラレタリュームが上映されるらしい
それと沿線の町や(十日町やまつだいなど)沿線の町と鉄道とが地域全体で
町興しをしている感がある

トンネルとトンネルの間は信濃川だった
15:18分「まつだい(漢字で書けば松代・同じ漢字で長野県はまつしろと読む)駅」着
駅内は「大地の芸術祭の里」とある
15:20分宿泊旅館の迎えがある
日本秘湯を守る会会員旅館松之山温泉「凌雲閣」
旅館で上記のスタンプ帳をもらった
宿泊者がもらえるらしい
全国の会員旅館が100軒ほど掲載されている
その内10ヶのスタンプが溜まれば1ヶ所無料宿泊になりますと書いてあった
見てみると小谷山田旅館や川湯富士屋・祖谷・海潮・湯峰あづまやなどあった
少なくとも5軒はいってるのに知らなかったな~
旅館も無料は痛いよな
車で30分紅葉というより黄葉に近いかな あまり進んでいない
人の好さそうな御主人だった


小谷の山田旅館と同じ造りだ
趣が有っていいのだがトイレが共同なのと
廊下や階段の軋む音が寝ていても頭に響く
今回トイレの前の部屋だったので便利だが一晩中音と振動に悩まされた
ここは有馬温泉・草津温泉と並んで日本三大薬湯とされている
上記2つと知名度はあまりにもかけ離れた感がある
途中もこれといった温泉宿は目にしなかったが・・・


1200年前の海水が80℃前後で湧き出るらしい
源泉と水が同時に流されている
源泉はやはり塩辛い 色は少し黄味かかっている 匂いは無い
とろっとしたいい湯だ ボイラーが要らないので24時間入浴可


食堂の客数を数えると20名ほど 結構はやっているんだ
贅沢な材料では無いが地元の山菜が豊富でとても美味しかった
特に「けんちん」は最高に旨かった
ほとんど眠らずにバスからここまで来たのと久しぶりのビール
19時には寝てしまったようだ 夜中の2時に目が覚めた
さあこれからが本番の入湯と撮影のお仕事お仕事
2日目
今日は野沢温泉の13外湯巡りだ しっかりたべるぞ~
9:20分旅館から駅まで送ってもらう
来る時一緒だった女性は朝早くタクシーで出られたようだ
20名ほどの客でバスに乗るのは1人 申し訳ない気分
駅の待合所
トンネル高速鉄道ほくほく線で六日町の手前十日町駅で降りる
ここは新潟から長野まで行くJR飯山線の乗り換え駅
飯山線は朝8:00以降は11:50分しか列車は無い
ここで1時間20分待ち
改札を出て付近の案内板を見ていると「十日町市博物館」が有った
まあどこにでもある地方の教育委員会の予算の一隅程度だろうと思ってみていたら
おいおいおいなんと「国宝火焔式土器」が展示されていると書いてある
あわてて改札のお兄さんに歩いて何分くらいですかと聞くと
駅前の地下道を反対側に出て歩いて5分だという
実際は12~3分はかかったが充分時間は有る
駅の反対側の広場は野外展示場のように彫刻のオブジェが並んでいる
なんだこの町は





入口に国宝のレプリカが展示され自由に触ったり持ち上げたりして下さいとある
現在 市ではこの火焔型を2020年の聖火台に取り入れようと活動している
レプリカを囲んでリオ大会の女子レスリングメダリストたちの写真も添えられていた


これが本物
国宝認定書なんて初めて見た
今回の旅 2度目の目から鱗
犬も歩けば何とやら
この町の文化度はこんな国宝級がいくつも発掘されるそんな風土や伝統から
醸成されているのかも




十日町の雪まつりもすごいんだ
この火焔式土器は国内の今まで見て来たものとは全く別の物である
笹山遺跡付近から日本海側青森あたりまで分布しているらしいが
細い線書き程度の装飾土器とは様式も技術も感覚も違う文化だと思った
メキシコやコロンビア・ペルーなどの博物館でみた造形物に近い感性である
「芸術は爆発だ」と言った作者の作品はメキシコ以南の南米に影響されている
畿内とか九州よりこの中・南米のほうに近いと思った
「感想ノート」を読むと一応に素晴らしい展示だと書いてある
本当にこんな1地方にこんな素晴らしい展示方法と展示物があるとは
11:50分十日町駅を出る
防雪の為のかまぼこ型ガレージが多くなってきた
母屋ほうもなにか工夫をすればいいのにと以前から思っていた
(写真は広告用展示物)
車窓左は信濃川から千曲川と名前が変わる
13:22分飯山駅着

駅前には野沢温泉行のバスが10分後に出る
駅前にある観光用の野沢菜の畑
野沢温泉
野沢温泉バスセンター13:55分着
取りあえず今夜の宿に向かう
荷物を置いて温泉巡りだ
宿は坂の上の神社の下「宮坂屋」なるほど納得の名前
食事無風呂無の素泊まり
「今日は お世話になります 取りあえず荷物だけ預かってください」
「お昼頃来られると思って部屋は用意しています」と2階に案内される
60歳代の人の好さそうなおばさん

部屋はもう布団が敷かれていた
「今日はお客さんはあなただけだから 自由にしてください」
9:06のバスに乗るので朝食だけお願いしている
さあ13か所の外湯で何か所回れるだろうか
まず湯元である麻釜(おがま)に行く



100℃のお湯が湧き出る源泉
ここからあちこちに湯が供給されている
①滝の湯

共同浴場は地元の人たちによって管理運営されている
原則無料だが賽銭箱が必ずあって寸志を求めている
戸を開けるといきなり湯船と洗い場がある
脱衣は洗い場にある
従って1部屋の中に脱衣棚と洗い場と湯舟がある
この構造は他も大体同じである
お湯は滅茶苦茶熱い 70℃の源泉が止めることなく注ぎ込まれる
横に水道があり適当に冷ます
しかし熱湯は止められないのでなかなか冷めない
1度ざぶんと浸かってあわてて飛び出した
②麻釜の湯
数人先客があり温度管理をしてくれていたので結構浸かったが
それでも熱い もう汗が止まらない
③真湯

ここは一番はずれにある為か人が居なかった
それにお湯の色が少し白い 温度も43℃ほど湯元が違うのかな

各湯屋には必ず湯もみ板が懸けてある
ほんとにだれも来ないしお湯も適温 初めてゆっくり出来た
④上寺湯
汗とお湯で服の脱着がスムースで出来ない
段々と下着は1枚状態になってくる
⑤河原湯

ここも熱くて一回も入れなかった
水でぬるめたお湯をかぶるだけ
河原湯の前は酒屋
生ビール350円につられて立ち寄ってしまった
砂漠に一滴の水状態だった
⑥十王の湯

十王の湯はビルの2階
⑦松葉の湯

ここもビルの2階
どちらも薄暗く人もいない従って水を入れる人がいないので
いくら水を出しても冷めない
もうどうでも良くなってきた
外は真っ暗13ヶ所はこの辺で限界
蕎麦でも食って帰ろう
宿の近くの大湯が場所も良く大きいのでシンボル的湯屋である
蕎麦屋も前にあるので最後に入っていく
⑧大湯
湯舟があつ湯とぬる湯があるがどちらも熱くて入れない
2~3人は頑張って入っている
最後になんとか肩まで浸かって出た

宿の叔母さんの親戚がやっているというので来た
野沢菜とビールが旨い
エノキのてんぷら蕎麦
もう野沢を堪能した
宿に帰り 窓から満天の星を見上げて床に着いた
3日目
昨日までと打って変わって曇天 台風が沖縄近くに来ている
8時前に起こされて朝食を摂り
9:06分のバスでJR飯山駅に戻る
9:48分長野駅行きに乗る 10:49分着
駅のロッカーに荷物を入れ
11:30分発アルピコ交通バスで戸隠高原に行く
往復2600円もかかるがほぼ満席の人
蕎麦と紅葉を楽しみたかったが紅葉はほとんど黄葉で今一
戸隠神社奥社入口12:34分着
さあここからが体力勝負の歩き
まず奥社まで徒歩40分

随神門

奥社は改修中
随神門までもどり天命稲荷を経由して鏡池まで行く
ところが倒木などで道が閉鎖され「みずばしょう群生」のほうから迂回する事態になっていた
随神門から鏡池まで20分のところが40分かかった
いつ雨が降ってもきてもおかしくない天気
周りはほとんど人影もない
あちこちにこの看板がある
熊除け鈴を必死で振る
天命稲荷まで来た
なんとか池に辿り着いた

好天の時も綺麗だろうが何とも幻想的風景に
恐怖心も疲れも一気に吹き去った
しかし感動もつかの間ついにぽつぽつと雨が
池端の「どんぐりハウス」で一休みしてバス停のある道まで戻らないと
「硯石」から「おまんの墓」経由の戸隠中社(ちゅうしゃ)の道を選んだ
案内図では硯石まで20分あとは中社まで20分と書いてある
傘だけで大丈夫だが雨も本降りとなる
平面図ではわからないが硯石までは結構登りがきつい
もう汗が出るほど歩く 手には鈴と傘
しかし石は無い 道を間違えたんだ まだ3時前というのにもう暗くなっている
人には一回も出会わない
ここで熊に食われても誰にもわからないだろうな
一句できました
「戸隠で 熊の胃の中 雲隠れ」
冗談では無い必死だったんだから
暗い急な山道を上がるとぽかっと空が見えた
峠のてっぺんに石が有った この道で合っていたんだ
しかしここまで40分もかかった
そんなに遅く歩いていたんだろうか
ということはこの先20分と書いてあるが40分もかかるんだろうか
でも道は下りである
もう景色は目に入らない人家の屋根が見えた時は助かったと思った
数年前の熊野古道湯峰温泉の時と同じ感覚だ
ここは記載通り20分だった
足を引きずって中社の階段を上がり無事の御礼をした
中社16:00着
中社の前の蕎麦屋「うずら家」
ここはいつも行列の店 この日はもう蕎麦が売り切れて
16時で店じまい
バスは1時間に1本次は17:20分に出る
とりあえず開いてる蕎麦屋に駆け込む
これが世に言う「戸隠蕎麦」なんだ
旨いかと訊かれれば旨いし 訊かれなければそれなりに
蕎麦屋の奥さんに「硯石の峠を越えて歩いたんですが結構時間がかかったんです」と言うと
目を見開いて「ええ~ 私はここに嫁いで20年になるけどあの道は行ったことが無い
ですよ 硯石まで20分は絶対無理 地図を訂正すべきだわ」と言ってくれた
バスの時間まで居たかったが最後の客だったので
お店に気を使って30分で出た
バスまで40分雨が強い 風も出て来た
閉まった蕎麦屋の軒先で雨宿り
天使のバスは時間通りに来た
1時間ほどで善光寺大門前に着いた

何度も善光寺に来ているが
こんな善光寺の風景は初めてである
善光寺から長野駅まで1.7km
帰りの夜行バスまで時間があるので
駅近くの銭湯で足の乳酸を揉みだす
22:55分長野駅発 5:20分京都駅着
この記を書きながらよくこんなしんどいことしてるな
と我ながら思うしかし1ヶ月もすればうずうずするのは
もしかして♬ もしかして病気なんだろうか♬
了